サンクチュアリエヌピーオーのご紹介
アカウミガメの来る浜辺は、暗くて静かで美しい浜辺であり、それは人間にとっても理想的な海岸環境であると思います。この思いを次世代の担い手である子どもたちに伝え、貴重な海岸環境とそこに生息する野生動植物を保護していくことが私たち自身の未来にとっても大切であると思います。多くの人々に活動に参加していただき、この思いを共感していただければとサンクチュアリエヌピーオーは考えています。
遠州灘海岸の環境保護活動の始まりは、1986年に偶然見かけたアカウミガメの産卵記事でした。過去、遠州灘海岸における産卵記録はないものの、翌年に1ヶ月間調査したところわずか3キロの海岸で22頭の産卵を確認しました。2年目には、シーズンを通して浜松海岸で調査すると、72頭の産卵がありました。しかし、この頃から砂浜でオフロード車の走行が目立つようになり、海浜植物が枯れ、砂浜の荒廃が急速に進みました。特に、アカウミガメの卵は盗掘やオフロード車に踏みつぶされるなどの被害が多発し、活動は調査から保護活動へと移行していきました。
本来、ウミガメは野生生物であり、人間の手によって保護することなく自然のままでの繁殖を見守るべきです。しかし、遠州灘海岸は、浜松市中心部より5キロほどの距離にあり市街地に隣接しているため、人間の生活環境の変化に大きな影響を受けています。アカウミガメにも、人工光やオフロード車等による被害が出るなど種々の問題が発生したことから、卵を保護柵で保護し子ガメが海に旅立つまで見届ける事としました。当初より市民に公開し、市民と協働で進め継続して行ってきたサンクチュアリジャパンのウミガメの保護活動は、30年以上に亘る長期的な活動となりました。
この遠州灘海岸の環境保護活動を持続して行えるように、サンクチュアリエヌピーオーは、2000年に特定非営利活動法人を取得設立し、サンクチュアリジャパンと協力し合い活動を続けています。しかし、残念ながら、海岸環境は浸食、荒廃、ゴミの散乱など多くの問題を抱え、年々悪化し続けています。特に砂浜の減少は深刻で、その形成維持に欠かせない海浜植物の減少と保護は大きな課題となっています。
当法人では、砂浜の減少対策として、海浜植物と種子を使い自然に負荷を掛けない砂浜回復活動を実践しています。ぜひ、多くの人々の参加をお待ちしています。今後も、全国の海岸や海浜植物の保全を志している団体とも協働して活動を進め、他地域の海岸にも活動の輪を拡げていきたいと思います。
概要
団体名 |
特定非営利活動法人 サンクチュアリエヌピーオー |
理事長 |
馬塚瑞樹 |
スタッフ数 |
理事4名、監査1名、専従職員4名、非常勤職員2名、会員18名 |
財政規模 |
2,700万円 |
主な活動 |
静岡県を中心とした自然環境保護・啓発 体験型環境教育
文化財保護調査
希少野生動植物保護調査
気象観測・環境調査・砂浜回復事業・デポジットモデル事業・政策提言
マイクロプラスチックゼロプロジェクト |
あゆみ
1984年 |
馬込川サンクチュアリ市民の会を設立、11万人の署名を県・市に提出馬込川河口保護要望 |
1985年 |
馬込川河口右岸を「野鳥の森」として保護に成功、「浜松サンクチュアリ協会」を設立 |
1986年 |
浜松海岸がアカウミガメの産卵地と確認し、87年からアカウミガメの保護活動を開始 |
1989年 |
中日ボランティア大賞 |
1989年 |
朝日森林文化賞 |
1989年 |
静岡県は馬込川河口整備事業を撤回し、自然環境を残すことを決定、河口環境保護に成功 |
1990年 |
赤坂御所にお招き頂き、天皇陛下ご一家と自然保護活動や当会の活動についてお話しする |
1990年 |
「ウミガメとその産卵地」を浜松市の文化財指定に成功 |
1992年 |
「サンクチュアリジャパン」と改称,子ども達の感動教育「ジュニアレンジャー制度」発足 |
1992年 |
水産庁に働きかけ、日本におけるウミガメの重要水生生物保護事業化に成功 |
1992年 |
静岡県に働きかけ、遠州灘海岸のアカウミガメ捕獲制限に成功(海区漁業調整委員会指示) |
1995年 |
中日社会功労賞受賞 |
1997年 |
吉川英治文化賞受賞 |
1999年 |
浜松市教育文化奨励賞 |
2000年 |
「特定非営利活動法人サンクチュアリエヌピーオー」を設立 |
2000年 |
海岸法の改正に成功し、海岸へのオフロード車進入を規制する「新海岸法」施行される |
2001年 |
環境教育施設サンクチュアリネイチャーセンターをオープン |
2003年 |
自然環境功労環境大臣賞受賞 |
2004年 |
田尻賞 |
2005年 |
ワンモアライフ勤労者ボランティア賞 |
2005年 |
パートナーシップ大賞 |
2007年 |
当法人の要望で静岡県自然公園法条例53条3項によりハマボウフウが採取禁止となる |
2008年 |
知恩院 浄土宗 共生・地域文化大賞 |
2009年 |
「浜松市の海岸全域とそこに産卵するアカウミガメ」の浜松市指定文化財に指定 |
2013年 |
静岡県知事表彰 |
2013年 |
社会貢献活動賞 海の環境貢献賞 |
2014年 |
静岡県自然公園法条例でアカウミガメが指定希少種の指定を受け罰則規定が盛り込まれる |
2015年 |
経営と心の会 心の賞 |
2015年 |
三笠宮瑶子女王殿下 安倍昭恵総理大臣夫人 アカウミガメの保護活動視察 |
2016年 |
日米国際海洋環境シンポジウム in Hawaii にて講演 |
活動実績
- *アカウミガメの保護調査の継続実施
- *コアジサシの保護調査の継続実施
- *静岡県自然公園法条例でハマボウフウの採取禁止に成功
- *静岡県自然公園法条例によりアカウミガメが指定希少種に指定され無許可採捕の完全禁止に成功
- *浜松市の海岸全域とそこに産卵するアカウミガメ」の市指定文化財に指定成功
- *サンクチュアリネイチャーセンターを開館し環境教育を実施
- *容器リサイクル法を見直すためのデポジット制度の実施
- *リユースの麻袋と海浜植物を利用した砂浜回復事業の実施