世界の海には、アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイなど8種類が生息しています。
それぞれ大きさも生息地もエサも違い、エサにより口に大きな特徴が有ります。タイマイはクチバシが細く珊瑚礁の中の生物をエサにしています。オサガメは、成長すると体長2メートルにもなりますが、クラゲが主食で小さな口をしています。
私たちのふるさと遠州灘海岸に産卵するアカウミガメは、体長1.2メートル、体重150キロの大きなカメです。主にクラゲをよく食べますが、雑食で堅い殻の貝も食べるため大きな顎をしています。
アカウミガメは、5月中旬になると南の国から黒潮にのって日本の太平洋沿岸にやってきて8月末まで産卵します。遠州灘海岸には、このアカウミガメだけが産卵します。 1頭の親ガメは、1シーズンで3〜5回の産卵をし、1回に110個位、全部で500個位の卵を産みます。8月中旬になると5月に産卵したものからふ化が始まり、10月まで続きます。産卵とふ化は、温かい黒潮が海岸近くにあるときだけです。ふ化した子ガメは、海に入ると遠州灘海岸の近くを流れる黒潮にのり南の海に向かいます。南の海で暮らして大人になったアカウミガメが、再び遠州灘海岸を訪れるのは、約20年〜30年後です。
ウミガメは、砂浜という特殊な環境でしか産卵できません。砂浜が減少すると卵を生む場所が失われます。せっかく産卵できても、オフロード車の海岸走行で卵がつぶれることや、わだちによって子ガメが海に戻れないこともあります。また、ふ化した子ガメは、海上の僅かな紫外線を頼りに海の方向を知ります。そのため、街明かりが海岸に漏れると方向を狂わされ、海に向かうことが出来なくなります。さらに、貴重なウミガメの卵を違法に盗掘する人もいます。こうしたウミガメを取り巻く環境の悪化は、ウミガメの絶滅を意味します。
自然や環境のために何か取り組んでいることがありますか。 ひとり一人の小さな活動が大きな力になります。例えば、砂浜や海の中にはゴミがいっぱいです。アカウミガメの大好物は、クラゲです。海に浮かぶポリ袋を、好物のクラゲと間違えて食べ、死んでしまう親ガメもいます。人間にとって気持ちのいい砂浜は、ウミガメにとっては産卵しやすい砂浜です。ビーチクリーンアップできれいな海岸を取り戻すことは、ウミガメの命を助けることに繋がります。 2億年以上も生き続けてきた生物の営みを次世代まで存続させたいものです。